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健康デザインとは
禅やマインドフルネスの考え方をベースに、一人ひとりの「人」の「基礎」となる部分(fundamental)を整え、さらにその考え方を社会構造や企業経営にも応用させることで、持続的に「健康」を引き出していくことを、私たちは「健康デザイン」と呼んでいます。
健康デザイン研究所では、この考え方に基づいて「健康デザインメソッド」を構築し、企業に関わらず一人ひとりの「人」の健康作りを目指しています。
WHOが定義する「健康」
WHOによると、健康とは「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。
社会とは、(他と区別することができる)人の集まりのこと。
つまりWHOが考える「健康」とは、単に心と身体の状態が良好なだけではなく、それらを良好に保つためにこそ、その土台である「人と人との関わり合い」が良好であることが大切ということを提唱しているのです。
「デザイン」とは
一方のデザインとは、「特定の行動を引き出すための手法をアレンジすること」です。
例えば、ある層の方々にキャンペーンに来てもらいたいとき、何のアレンジもせず単純に情報を発信していては、その人から狙い通りの行動を引き出すことができません。
その人から「来る」という行動を引き出すには、その人自身が自発的にそうしたくなるようなアレンジを施すことが大切で、この発想がデザインの基本となります。
同じように、誰か集中してもらいたい人がいるとき、何のアレンジもせずにただ「集中しろ!」と伝えるのではなく、自発的な集中を引き出すようなアレンジを施すことがデザインです。
私たちが社会的な健康を考える際、この「デザイン」という発想がとても重要な役割を果たすことになります。
マネジメントとデザイニング
健康管理を含む従来のマネジメント手法は、画一的な考え方や特定のルールなどを押し付けるニュアンスの強い手法ですが、強いリーダーシップと共に一つの方向にチームを導くことに長け、特に人/組織/国の成長期においてとても有効です。
ただし成熟期において、こういった手法に依存し過ぎると、意欲の低下や対立の激化など、好ましくない状況を招くことが多々あります。
これに対してデザイニング(デザインを施すこと)では、それぞれの個性や多様性を尊重し、対話、気分、実感を重視しながら、その人の中から自発性を引き出すことを大切にします。
人/組織/国の成長期には、それぞれの経験値が低くて何も引き出せず、効果的に作用しない場合もありますが、特に成熟期においてはとても有効で、自発性を尊重しながら狙い通りの行動を引き出すことに長けています。
こういった意味から、社会的な健康を本当の意味で追求するには、健康マネジメント(健康管理)と同時に健康デザイニングを取り入れ、その二つを状況に応じてうまくバランスさせることが重要になってくると私たちは考えています。
健康デザインと禅
こういった健康デザインの考え方は、禅やそこを源流とするマインドフルネス、そして華道や茶道などの芸道や武道の考え方に基づいて構築されています。
禅の世界では、「心を空にして世の摂理を悟る」という境地を目指しながらも、それがどのような境地なのかを示したり、そこに辿り着いた人がどういう考え方をするのかを説いたり、そこを目指すために「心を空にしろ!心を空にしろ!」と押しつけり(Doing)を一切しません。
心が自然にそこへ向かっていくように、そしてそれぞれが自分の内側から哲学(生きる指針)を見い出せるように「デザインされた一定のルール」に従い、ただひたすらに坐ること(Doing)によって、「空」という状態(Being)を引き出すことに徹するのです。
日本の芸道や武道においても、型破り(内側から湧きおこる自発的な動き)を誘発するためにこそ、日々一定のルールに基づいた型練習を行うという、禅とまったく同じアプローチをとります。
これらすべてのメソッドに共通するのが「デザイニング」という考え方なのです。
ゴールの状態をただ押し付けるのではなく、そこに自然と至るようにデザインされた型練習を行いながら、自発的にそこに至るように導くこと。こういったアプローチが、WHOが掲げる健康を促進する上でカギとなると私たちは考えています。
※関連『マインドフルネスについて』